この続き。
ホテルで食べさせた、父が好きだったチョコレート。これが一時的な回復への転機になった。
好きなものを食べさせる方針へ
父の喜んだ顔が嬉しかった反面、これまで健康のためとはいえ、好きなものを食べられないストレスの大きな生活をさせてしまったんだなと胸が痛んだ。
残り3ヵ月の命ならば、好きなことをさせ、好きなものを食べさせてあげよう。
そんな気持ちになっていった。
琵琶湖から帰宅して数日後、波動療法とは別の救いを求めて、○○県へと救いを求めて出向いた。
整体だけでガンを治せるという人
ネット上の噂から、整体だけでガンを治せるという人に奇跡的に行き着いた。この整体院は、口コミのみで全国から救いを求めてガン患者が押し寄せるとのこと。
その人は、首を触るだけで、医者に診断されたガンが、死に至るガンか、死には至らない偽物のガンかがわかるという。
ガンなのか、ガンもどきなのか。
そして、真のガンであるなら数回の施術でガンは治せる。自分はガンを治すことが一番得意なのだと語っていた。
驚くのは価格設定だ。
50分ほどの施術で、わずか4500円程度。
彼曰く、「本物ほどお金は取らない。病院や怪しい治療ほど高額で、お金をとった上に効果があるどころか人体に害悪を与えて逆に弱らせる。
高いところは、偽物だ。」
そんな言葉が、波動療法に大金を費やしたあとでは胸に刺さるし、やっと本物に出会えてよかったと希望を持たせてくれた。
診断結果は?
父を診てくれた彼の診断結果は、偽物のガン、ガンもどきだった。
100%死に至るガンではない。
自信満々にそう言い切ってくれた。
その様子を見守っていた母も僕も姉も、本当に喜んだ。
彼の所には、年間100人以上のガン患者が訪れるが、そのうち本物のガンは2,3人ほどしかいないと言う。
いや、とはいえ治療は?何をすればいい?
ガンが偽物だと言うのはわかった。
けれど、体調が悪くなっているのは本当だった。
「じゃあ、何をしたらいいんですか?」
と聞くと、
「何もしなくていい。体が欲する好きなものを食べて、いつも通り動いていれば元気になる。」
そう言った。
こんな話を信じるのはバカげているのかもしれない。
でも、この整体院に来る前、
ホテルでチョコレートを食べてから、少しずつ好きなものを食べるようになってから、
父の体調は良くなって来ていたのだ。
だからこそ、「好きなものを食べて、ストレスのかからない生活をしていれば治る」と言う言葉が、家族みんなの心にスッと入ってきた。
元気になっていく父
整体院を後にした後、家族みんなでバンザイをした。
父の体調を悪くしていたのは、すい臓ガンではなく、すい臓ガンを治そうと無理な食生活を強いて父に溜まったストレスのせいだったのだと。
これからの父は、今までの鬱憤を晴らすかのように好きなものを食べまくっていた。
その度に、子供のように満面の笑みを浮かべて嬉しそうだった。
余命3ヶ月と覚悟したほど悪かった体調は、事実ここから上向いていった。
次へ続く。
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