さあ、父の診察の時間がやってきた。
僕ら家族は膵臓がんの宣告を受ける緊張感はもちろん、
宣告を聞いて笑うというミッションがあり、
変な緊張感を持っていた。
家族3人が席へと座り、緊張感漂う中
医師が話し始める。
「精密検査の結果が出ましたので、、、。」
「あーだこーだー・・・」
「端的にいうと、膵がんです。」
きた!
僕と姉がクスクスと笑う。
笑い飛ばすまでは難しかったが、
「何ばかなことを言ってるんだこの人は」
くらいの笑い方は出来たと思う。
父はどうだ?
と父に顔を向けると、
ちょっと笑っている。「ハハハ・・・笑」
顔は引きつりながらも笑っている。
うん。
当人にしては上出来だろう。
ガンを宣告されて笑うだなんて普通は出来ない。
姉が父によく頑張ったねと後で褒めていた。
さて、少しは効果があるだろうか?
膵臓がんの診断にショックを受けていた父
![sad](http://xn--v8jwa9boe9irdwnxw1433c.com/wp-content/uploads/2017/08/petct-sad2-1024x683.jpg)
ただ、父は予想外にショックを受けていた。
僕と姉は、
父が膵臓がんであることは確定だと思っていた。
だから、
余命3ヶ月だとか、
ステージ4の末期だとか、
そんなことを言われても笑い飛ばそうと覚悟をしていた。
ただ、
父の場合は僕らより覚悟が出来ていなかったようだ。
最後の最後まで、
「膵臓がんの可能性だなんて誤診だろう」
そんな希望を持っていたらしい。
だって、体の不調は一切感じていなかったから。
膵臓がんは末期になるまで症状が出ない。
沈黙の臓器なんだと話をしていたが、
自分だけは違うという気持ちがあったんだろう。
最初は頑張って笑った父の顔は、ショックを隠せないでいた。
膵臓がんステージ2。手術は可能と思われる。
![膵臓がんの手術](http://xn--v8jwa9boe9irdwnxw1433c.com/wp-content/uploads/2017/08/手術-1024x683.jpg)
診断はステージ2a。
aの部分がよくわからないが・・・。
手術はおそらく可能で、
それ以外に有効な手段はない。
抗がん剤ができるのは延命治療だけで、
出来ても数ヶ月しか延命出来ないと言われる。
一度ご家族と話しあって、
1週間後にまた来てください。
その時にはじっくり今後の治療方針を話し合いましょう、と。
ゆっくり話せる時間帯に診察を設定しますから、と。
親切な医師に担当してもらえてよかったと思った。
父はショックを受けていたが、
僕らはホっとしていた。
膵臓がんをステージ2で発見できるなんて、
きっととても運がいいことだから。
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